ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか(小学館新書)
著者 : キューリング恵美子
小学館 (2021年11月30日発売)
他人の人生を生きない
彼ら彼女らは、自分の価値観を疑わず、ありのままの自分に自信を持ち、自分で物事を判断し、常に誰かの役に立つような生き方をしています。彼ら彼女らは、自分の人生を歩んでいるから、のびのびと自由に、幸福感を感じながら生きていられるのです。
著者はドイツに住む日本人の女性の方。最近久しぶりに日本に一時帰国したものの、疲れを感じて、ドイツへ帰りたくなったそうです。
自分を押し殺し、相手を思いやる優しさや過剰なサービスを受けることに無意識にストレスを感じてしまったからだと。著者は日本で20代の頃に靴メーカーで働き、その後旅行会社に転職したと言う経験をお持ちです。
その時の著者は自分の楽しみや幸せを感じていた記憶はほとんどなく、他人に怯えるばかりの生活であり、その頃は「他人の人生を生きていた」と語ります。その頃を思い出し、街の日本人に当時の自分を重ねたのでしょう。
「他人の人生を生きる」と言う言葉は、最近読んでいる本の中でも、よく目にする言葉です。日本のおもてなしと言う文化は、素晴らしい一面もありつつ、行きすぎると、他人の人生を生きる羽目となるので要注意です。ブラック企業における過重労働、サービス残業も広義のおもてなしといえるかもしれません。
ドイツ人の女性は、ノーメイクの女性が多いそうです。ドイツ人は自己肯定感が高いので、メイクしたいときはする、メイクしたくないときはしない、と言う他人に振り回されない生き方ができていると言うことです。
今までドイツにはあまり興味がなかったのですが、この本を読んで初めてドイツへ行ってみたいと思いました。ドイツ人の自己肯定感の高さが伺えるような行動、様子を生身で感じてみたいと思った次第です。
日独双方の良い点をいいとこ取りした行動が取れれば、これでヨシと思える人生にまた一歩近づけるのではないでしょうか。
海外の人の価値観に生身で触れてみたいというリビドー(性的な意味ではない)を感じることができた一冊でした。
以上、ケンゴンでした。