人生の土台となる読書――ダメな人間でも、なんとか生き延びるための「本の効用」ベスト30
著者 : pha
ダイヤモンド社 (2021年11月16日発売)
京大卒元ニートphaさんが、これまで読んだ本を紹介する本。
この人の文章は読みやすくて好きだ。読んでいて心地よい。
手触りのよいタオルのような文章。トゲがなく、さっぱりとしている。
常々思う。
紹介されている本に次々と触手を伸ばしたくなる。だが時間は限られている。全てを読むことは不可能。紹介されている本を次々とamazonでポチりたい衝動に駆られる。だが、ブクログ(読書好きの為のwebサービス)の本棚に一冊、一冊を登録することで、その衝動を抑える術を編み出した。その術を使用して、なんとか読了した本。
「岳」の2巻だけ買った。
『岳』(石塚真一、小学館)
2巻に、1000メートルある垂直の崖を10日間かけて登る、という話が出てくる。怖すぎるしメチャクチャだ。でも、そこでしか得られないものがあるんだろう。少しうらやましい。
死を考えさせてくれる読書として、山岳漫画「岳」が紹介されていた。上記のくだりを読んでみたくて、岳の2巻だけどうしても欲しくなった。メルカリで探すも、2巻だけの販売はなかったので、amazonで新品を購入した。目当てのくだりはあまりページ数が割かれたエピソードではなく、期待していたよりも短かいな、と思った。感想は、それだけだった。
さて、フリマアプリで売ろうとしたが設定可能な最低価格300円でも全く売れない。古本屋に持ち込んでも、ほぼ値段がつかないだろう。売りにいく手間を考えると得策ではない。結論として、普通ゴミとして捨てるに至った。書籍を捨てるのはなんとも心が痛む。どんな本でも、捨てずに、次の読みたい人に繋げたい。
中古本が出回ると著者には印税が入らないので、新品を買った人は読んだ後に手放すなら、売るより捨ててもらったほうがいいんだろうなとも毎回考えたりする。
「岳」という漫画は、作中で頻繁に人が死ぬ。山で人が遭難、滑落して人が死んでいく。
主人公が助けるケースもあるが、人が死んでいく描写が多い。
登山という趣味は、死亡率が他の趣味に比べて高い。登山が趣味の人は世の中には結構多い。死亡率が高いという事実をあまり考えないのか、死亡率が高いという事実を差し引いても、登山という世界が魅力的なのか。令和3年の日本全国での山岳遭難での死者・行方不明者 は283人らしい。
私も登山経験があるので、山の魅力については多少理解している。山は非日常で溢れている。山の景色は素晴らしい。山に惹かれる気持ちはよく分かる。とはいえ、気を抜くと結構簡単に死に直結する一面を考えると、登山という趣味には特殊性を感じる。
果たして命を賭けてまで、享受したい程の楽しみなのか。そのリスクに見合うだけの価値がある趣味なのだろうか。と考えるのは野暮なのかもしれない。
でも、違和感を感じる。自分は山は好きだし、また登山はしたいと思う。登山途中に死んでもしょうがないか、登山だし。とナチュラルに思う。普段は病気や怪我には気をつけて生きているつもりだ。しかし、行けと言われて否応なく行く訳ではなく、趣味で行く山なのに、まぁ死んでもしょうがないかと何故か納得する。そして登山で死んだならしょうがないかとも身内にも思ってもらえる気がする。
人間の考えは合理的なようでやはり不合理なのだと、登山の事を考えた場合も、思う。
以上、ケンゴンでした。