書評

お金の消費は時間の消費である。

こんにちは。ケンゴンです。

今回は私の好きなミニマリスト、しぶさんの本。「手ぶらで生きる」です。
最近出版された「手放す練習」を読んで、前著である本書を改めて読み返しました。

この方はかなりの読書家ですね。端々に伝わって来ます。そしてこの本は、恐らくライターさんが書いたものではなく、本人御自身が執筆した本なんだろうと思います。本人自身の言葉故にミニマリズムに対する想い、考え方ががバシバシと伝わってくる本です。

新作「手放す練習」というタイトルは草薙龍瞬さん著の「反応しない練習」から来てるのではないかなと思ったりします。(そもそも「○○○練習」という題名の本はたくさんありますね。誰が最初に始めたのでしょうね。)仏道や禅についての本を読み漁った時期があると書かれていたので、恐らくそうじゃないかな~と想像する次第です。

さて、本書で一番刺さった一節は下記です。
しぶさんが他の本から引用されている部分ではあるのですが、印象的でした。

「世界一貧しい大統領」として一躍有名になった、ウルグアイのムヒカ元大統領。大統領 時代は月収1万ドル(約100万円)もらっていたにもかかわらず、一般国民と同じ生活水準でいられるよう、毎月1000ドル( 約10万円)で生活していたという。彼は言う。

「私はシンプルなんだよ。無駄遣いしたり、いろんな物を買い込むのが好きじゃない んだ。そのほうが時間が残ると思うから。もっと自由だからだよ。(中略)根本的な問題 は君がなにかを買うとき、お金で買っているわけではないということさ。そのお金を得るために使った『時間』で買っているんだよ。請求書やクレジットカードローンなどを支払うために働く必要があるのなら、それは自由ではないんだ」

ムヒカ氏が提言しているのは、物を買うときに支払っているのはお金ではなく「時間」 という認識だ。

何をするにしても、有限である下記3つの要素を消費or投資することになるなぁ、と最近考えていました。

  1. お金
  2. 時間
  3. 気力

③の気力は人間一日のうちに決定できる回数が限られているという、(スティーブ・ジョブズが決定回数を節約する為に毎日同じ服を着ていたというエピソードは有名ですね)考えからです。

「お金」と「時間」を分けて考えていたのですが、なるほど、「お金」はもとを辿れば「時間」になるのか、という視点が得られました。

お金を働かせてお金を得る資産家は、まあ置いておきましょう。
サラリーマンにとってはこの考えは顕著ですよね。会社に、「週5日、9時から17時」、という「時間」を売って「お金」を得ています。

お金は大切にするけれども、時間の浪費に無頓着な人は多いと思います。
本著では、一昔前に話題になった携帯キャリアによる、ドーナツ、牛丼の無料キャンペーンの行列に並ぶ人達について触れていました。

行列に並ぶ事に費やす時間の対価として、ドーナツ、牛丼に見合う価値が果たしてあるのか。行列に並ぶこと自体が楽しくて、無料で食べられる、ということに快をとても感じる!というのであれば対価が見合って全くもってOKだとは思います。揶揄するわけではないですよ。ちなみに、ドキドキわくわくを楽しむ為に、宝くじをほどほどに買うという行為もOKだと思ってます。「愚者の税金」と非道いことをいう人もいますね。

と、逸脱しかけた話を戻します。
行列に並びはしませんでしたが、かつての私も時間の価値については無頓着でした。時間が資産という考えがそもそも無かったのだと思います。

なんでですかね。時間は日が替われば、誰しもに平等に、そして自動的に24時間が与えられるものであり、慎重に大切に使うべき「資産」であるという発想がそもそも持てなかったのかもしれません。その時間を使ってやりたいことはあるにはあるけれども、定年後にできれば良いとおぼろげに夢を馳せて、毎日会社に時間を売り続ける生活でした。

時間はお金よりもさらに抽象的で可視化しにくい資産です。さらにSuicaの如くオートチャージされるもの。加算されるというより、日々刻々と減り続ける、とも捉えることもできますが、私は「日々チャージされるもの」という感覚に近いです。

「お金の消費→時間の消費」という考えは新たに得られた視点でした。「お金」は「時間」に集約されるものと考えると、時間に対する価値意識が高まります。

時間を資産と捉えて大切に扱うこと。かといって焦って、生き急いで、苦を感じてしまうのは本末転倒ですね。有意義に対価に見合う、これでヨシと思える時間の使い方が出来るよう、丁寧に生きて参りましょう。

考えてみますと、「時間」を使って得た「お金」を使って本を購入した上で、「時間」を更に直接使って行うという読書という行為は凄くコストがかかっている行為ですね。だからこそ読む本は、その対価に見合うかを踏まえて慎重に選びたいと思っています。とはいっても、本もガチャですね。出会いだと考えています。

以上、ケンゴンでした。
それではヒュッゲな一日を。モイモイ。