書評

「選択と集中」ではなく「選択と捨象」。

こんにちは。

今回は、『#世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 』山口周 著(光文社新書)

選択と捨象

今日、デザイナーやクリエイターが、経営者の相談相手として起用されるケースが増えているという。アーティストを経営陣として参画させるという例だ。

ロゴや製品デザインの領域ではなく、経営戦略に参加させるという形だ。例として、ユニクロの経営に参画する佐藤可士和氏。その話を聞いて、本書に興味を持って購入に至った。

私は「デザイン」と「経営」には、本質的な共通点があると思っています。

(中略)

では両者に共通する「本質」とは何か?
一言で言えば「エッセンスをすくいとって、後は切り捨てる」ということです。
そのエッセンスを視覚的に表現すればデザインになり、そのエッセンスを文章で
表現すればコピーになり、そのエッセンスを経営の文脈で氷艶すればビジョンや戦略ということになります。

(中略)

経営という営みの本質が「選択と捨象」であることを、しっかりと理解することが必要。
大事なのは「選択と捨象」、つまり「選択」したら、後は「捨てる」ということです。

何をするかということにどうしてもフォーカスしてしまう。
しかし、何をしないか、何をタスクとして切り捨てるかという視点がとても重要だ。

「選択と集中」とよく言われるが、これは同語反復である。選択したものに集中するのは当たり前のことでわざわざ言うまでもない。大事なのは「捨てること」と、本書は強調する。
「選択と集中」、ではなく、「選択と捨象」である。

【捨象】
現象の特性・共通性以外を問題とせず、考えのうちから捨て去ること。

優れた意思決定の本質というのは、「一見すればどれも優れているように見えるたくさんの案を、まとめて思い切って捨てる」ことにこそある。アート、経営においてその考えは共通するものである。そして、人生においても。やれることは限られている。一見すればどれもやった方が良いこと、やるべきと思えることは無数にある。

いつか時間がきたら全て出来る日がくるというのは全くもって妄想なのであるが、しばしばその妄想に浸ってしまう。従い、「選択と捨象」をないがしろにした結果、結果的に有益性の低いタスクを選択し、日がな過ごしてしまう。これはデザイン的に美しくない。

日々の行動をデザインする、
その意識を持って、一挙手一投足、行動してみようか。

以上、ケンゴンでした。
それではヒュッゲな一日を。